美容情報 #3

ヒアルロン酸の美容効果と配合スキンケアの選び方

  • #ヒアルロン酸
  • #マイクロニードル

最終更新日:2023年9月8日

  • ライター・監修者

    髙木 裕子

    • EDUCATION 学位

      大邱漢医大学 化粧品薬理学部 卒業

    • EXPERIENCE 職歴

      2019年入社
      前職の化粧品メーカーで研究開発、評価研究、商品企画、営業企画を経験。
      NISSHAでは新規事業開発部門 マーケティング部に配属

    • CERTIFICATION 資格

      コスメコンシェルジュ(日本化粧品検定協会)

ヒアルロン酸とは?

牛の「目」から発見された、肌だけではなく、私達の体に必要な成分。ヒアルロン酸は、1934年に米国コロンビア大学のカール・マイヤー博士らによって、牛の目から発見されました。ギリシャ語で硝子体を意味するHyaloidからHyaluronic acid(ヒアルロン酸)と名付けらています。その後研究により、皮膚や関節、脳、心臓など体のいたる所への存在を確認。重要な働きをしていることが明らかになりました。
1987年には日本で医薬品としての使用が認められています。そして、今日まで眼病治療薬、関節炎治療のための注射として用いられているのです。また、サプリメントや化粧品として多用な用途があり、今では広く知られる成分となっています。

ヒアルロン酸は体内で働いている

ヒアルロン酸はヒトの目、皮膚、関節など体のいたる所に存在し、中でも特に目・肌・関節に多く存在。各部位でさまざまな役割を担っており、私たちの体にとって、欠かせない成分なのです。

肌での働き:うるおいを保つ事で乾燥を防ぎ、みずみずしいハリのある肌を維持します。

目での働き:目の形を保ち、ドライアイの予防し、健やかに保つ役割があります。

関節での働き:関節には軟骨と言われるものがあり、この軟骨は骨と骨の間のクッションの役割を果たしています。「ヒアルロン酸」は軟骨を構成する基質のひとつです。補う事で、曲げ伸ばしなどスムーズな動きをサポートする働きがあります。

ヒアルロン酸の性質

ヒアルロン酸は糖の仲間です。「N-アセチルグルコサミン」と「グルクロン酸」と呼ばれるふたつの糖が結合しています。この糖が数万も結合して、私たちの体内ではヒアルロン酸の長い列を作り出しているのです。そのため、ヒアルロン酸は高分子に属し、そのままでは体に吸収されにくいという性質も持ちます
吸収されやすいように分子量を小さく加工したヒアルロン酸もあります。そして、低分子ヒアルロン酸を配合した化粧品やサプリメントなどが多く販売されているのです。また高分子ヒアルロン酸をそのまま取り入れる方法もあります。用途や目的に合わせて、上手に取り入れることができる方法を選ぶ事が大切です。

ヒアルロン酸の機能

美肌

美肌

ヒアルロン酸は水を抱え込む事ができるため、肌の潤いを保つ効果が期待できます。この優れた保水力は、肌をうるおいに満ちた弾力のある状態にキープする上で大切です。水を抱えて、肌の隙間を水分で充たすことで、乾燥から肌を守り、潤いを生み出しています。
しかし、体内のヒアルロン酸の量は、20代後半から減り始め、40代後半を過ぎると減少量が増加。70代の大人の皮膚に含まれるヒアルロン酸量は、赤ちゃんのわずか5分の1とも言われています。必要なヒアルロン酸が不足している肌は、うるおいが失われ、弾力が低下し、肌のハリが衰えます。もちろん、肌のカサつき・肌荒れの原因にもなるのです。
高分子保湿成分であるヒアルロン酸をチャージすることによって、うるおいのある肌を維持できます。
そのため、ヒアルロン酸はアンチエイジングのための保湿成分として定番の成分です。美肌を目的としたヒアルロン酸の摂取方法としては、化粧品やサプリメント(経口投与)、美容機器などがあります。
​また、安全性が高い成分と評価されており、美容外科・整形外科などで美容施術にも用いられています。

目の乾きを防ぐ

目元の疲れ

目を形づくっている「硝子体」と呼ばれる部分のほとんどは、ヒアルロン酸でできています。また涙の成分にもヒアルロン酸は含まれているのはご存知でしょうか。ヒアルロン酸は粘り気のある保湿成分であるため、補うことで涙を角膜の表面に留まらせる働きも。これにより、目の表面の乾燥を防ぐことができます。よって、ヒアルロン酸の現象は涙の量が減ったり、質の低下を引き起こす原因にもなるのです。ですので、目の表面が乾くのを予防・改善する効果がある成分として点眼薬に用いられています。

パソコンやスマートフォンが生活に欠かせないツールとなり、目を酷使する時間が増えています。長時間、パソコンやスマートフォンを使用する方は、特にまばたきの回数が減少する傾向が。まばたきの回数が減ると目の表面が乾燥しやすくなります。また、湿度が低い環境での長時間の作業も気をつけるとよいでしょう。目の表面が慢性的に乾燥していると、目の表面が傷つきやすくなります。その結果、視力に影響を及ぼす恐れも。目の表面の乾燥を軽視していると、重大な症状を引き起こす可能性もあります。日々、予防することを心がけましょう。

関節の動きを滑らかに

関節の痛み

ヒアルロン酸は、関節間のクッションの役割を果たしている軟骨に含まれ、関節の動きを滑らかにします。クッションの役割をしている軟骨がすり減ってしまうと、骨と骨がぶつかることも。その結果、日常生活のちょっとした行動であっても、膝などの関節に痛みを感じることがあります。このような関節痛にもヒアルロン酸は力を発揮するのです。
ヒアルロン酸は軟骨の形成を促し、スムーズな動きを補助することで痛みを和らげます。年齢とともに含有量が減少してしまうため、年配の方の悩みという印象があるかもしれません。しかし、体重の増加により関節への負担が大きくなり、関節痛を引き起こす事も。年齢を問わず、日頃から、ヒアルロン酸を補うことが大切なのです。

化粧品に配合されているヒアルロン酸の種類

ヒアルロン酸Na
肌表面のうるおいをキープする効果があります。その理由は分子が大きく、角層に浸透しにくいため、肌表面に留まる性質のためです。肌表面に留まり、覆うことで皮膚から水分が蒸散するのを防ぎます。そのため、乳液やクリームなど化粧水の水分を閉じ込めたいアイテムに配合されています。

加水分解ヒアルロン酸
分子を小さくすることで、角層に浸透しやすく改良されたヒアルロン酸です。水を多く配合するアイテム(美容液や化粧水)などに広く使われています。

アセチルヒアルロン酸Na
優れた保湿力があり、ヒアルロン酸Naと比べると、2倍の水分保持力があると言われています。ヒアルロン酸 Naは水にも、油にも溶けやすいため、肌に吸着されやすい性質を持ちます。角層を柔軟にする効果も期待できる高い保湿性のあるヒアルロン酸です。さらに、べたつきのないもっちりとした使用感の化粧品をつくるのにも用いられます。

化粧品に配合されるヒアルロン酸はサイズに注目

化粧品に配合されるヒアルロン酸は浸透性を高めた低分子の配合が好まれています。一方、高分子ヒアルロン酸は肌の表面にうるおい膜を形成。またペタペタとした感触があるため、塗布後のモチモチとした肌感触の演出に用いられます。

自然界に存在する高分子ヒアルロン酸の分子量は通常100万以上でです。低分子ヒアルロン酸は1万~10万程度にまで縮小し、低分子ヒアルロン酸に加工されてます。

アセチルヒアルロン酸(通称スーパーヒアルロン酸):原子の一部を肌に吸収しやすい物質に置き換えたもの

加水分解ヒアルロン酸:酵素などを用いることでヒアルロン酸を加水分解して分子量を1万以下にしたもの

低分子ヒアルロン酸と高分子ヒアルロン酸のそれぞれの特徴を知りましょう。そして、目的に合わせてスキンケア用品を選ぶことをおすすめします。

高分子ヒアルロン酸とは?

高分子ヒアルロン酸は、フカヒレやオクラ、納豆などのプルプル、ネバネバ系の食品に多く含まれます。これらは、自然界にもともと存在する「高分子ヒアルロン酸」です。

高分子ヒアルロン酸は粒子が大きく、その分、低分子よりも抱え込める水分量が多くなります。そのため高い保水力を有するのが特徴です。体内へは食事から摂取することが可能ですが、熱に弱いため、調理時に破壊される懸念があります。化粧品で角層内に吸収させのは難しいですが、肌の表面に留まり保護膜のような働きが期待できるのです

低分子ヒアルロン酸とは?

低分子ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸を人工的に小さくしたものです。体内や皮膚から吸収しやすく、化粧品やドリンク、サプリメントなどに用いられています「吸収」という面では優れている低分子ヒアルロン酸。しかし、高分子ヒアルロン酸に比べると、体内で早く分解されてしまうため、長持ちしません。また角層に吸収した場合、保水効果の持続時間は高分子ヒアルロン酸に比べ短いと言えます。

目的に合わせて高分子と低分子を選ぶ

化粧品選び

ヒアルロン酸は、分子量が大きいと抱えこむことができる水分量が多く、保持力が高くなります。角層内に浸透させる事ができれば、角層内部にとどまりやすく、うるおい維持が可能です。そのため保湿効果とその持続性が高い点が優れています。高分子ヒアルロン酸はそのまま化粧品に配合すると角層に浸透できず、肌表面に留まります。その結果、高分子ヒアルロン酸が膜のように肌表面を覆い、しっとりとした使い心地になります。
一方、低分子ヒアルロン酸は、角層に浸透しやすくなります。ただし、保水効果やその持続性は高分子ヒアルロン酸より劣るデメリットが。保湿作用を目的に化粧品に配合する場合、少量では効果を発揮しにくいことも。そのため、高配合されている化粧品を選ぶ必要があります。また、さっぱりとした使い心地でべたつきにくいです。目的や自分好みの使い心地に合わせて、ヒアルロン酸を選んでみてください。

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